彼と彼らの243分
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彼と彼らの243分

北畠あけ乃

構成が良い。めちゃくちゃ好き!

ネタバレ
2022年11月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ ●作者さんの『Sugar〜』が好きで、本作も機会を見つけて拝読してみたかった作品でした。広島から東京まで新幹線で上京する“彼”と、京都まで乗り合わせた旅行中の“彼ら”、京都から乗り込んできた出張帰りの“彼ら”。タイトルと構成が素敵!そして読後感もとても良かったです。登場人物がちょっとアンニュイなところも、作者さんの魅力かなぁ?
●『広島→東京』3話+after2話。高校を卒業して東京の大学に通うことになる佐々木と、空手部後輩の燿(ひかる)。佐々木は弱虫で嘘つき。燿を好きかもなんて、認められなかったし、言えるわけなかった。なのに身体は動いてキスをしてしまって…
●見送りに来た燿と一瞬視線が交わって、新幹線の中で佐々木はいろんなこと考えます。隣に乗り合わせる外人旅行者コンビや、上司と部下らしい二人が、佐々木に影響を与える。東京に着いてからの、電話での佐々木と燿の会話、良かったな。
●afterは、燿が東京へ佐々木を訪ねて行くお話。燿の方が、しっかり覚悟決めて佐々木と対峙してる。佐々木が嘘ついて逃げたぶん、燿は一生懸命考えたんだよねぇ…。方言男子×2、かわいかった!
●この後は、佐々木と乗り合わせた“彼ら”のお話。『広島→京都』2話は外人旅行者・ミカエル×エリク、『京都→品川』2話+afterは部下の梶原×上司の日野。どちらもちょっと拗らせた面倒くさいオトナたちです。佐々木と重なった時間を含んでその前後を描いてくれてるから、一冊の中で全部が繋がっていて、満足感がある。構成良い!
●カバー下の人物紹介に否定的なお声もありますが、私は「ああ、だからこんな感じなんだなぁ…」と各人の成り立ちを知れたようで良かったです。3CPそれぞれに雰囲気も展開も違って、でも少しだけ時間を共有していて、読み応えのある作品でした。
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