手中に落としていいですか
」のレビュー

手中に落としていいですか

くれの又秋

待ちに待った最新巻!

ネタバレ
2022年12月1日
このレビューはネタバレを含みます▼ 配信される0時になっても、読むのが惜しくて暫く逡巡してしまいました。
どんなにこの日を待ったことか…嬉しすぎます…泣
くれの先生は、いつもため息が出るくらい美しいコマ割りをされて、毎回「質のいい映画を観ているみたいだなあ〜」と感心させられます。
今号はその鮮やかさが際立つシーンが多かった気がします。
一番大好きな、何度も見返してしまうくらい心奪われたシーンはやっぱり、有馬君から暴行を受けそうになる新田さんを、身を挺してかばう巳鹿島さんの場面です。
直前まで、新田さんの呼びかけにも小さく頷くことしかできなかった巳鹿島さんだったのに、大切に想う新田さんの窮地を察したからとはいえ、こんな鮮やかに新田さんを抱え込んで我が身で庇えますっ?
「こんなに巳鹿島さんに愛されてるのに〜っ!新田さん〜」って、泣いちゃいました。
この行動以外に、巳鹿島さんに動きも台詞も無いせいか、より一層巳鹿島さんの強い想いがひしひしと伝わってきました。
読み返す度に、新田さんに対する巳鹿島さんの、溢れんばかりの熱くて強い想いがこれでもかと伝わって、こちらの方が胸が苦しくなりました。
巳鹿島さんには、早く新田さんと幸せになって欲しいです。
新田さんもステキでした。
有馬君の巳鹿島さんへの暴行を、携帯から聞き取れた僅かな音から現場を予測して駆け付けられるなんて、あのとても冷静ではいられない状況を考えたら、新田さん有能すぎ!
新田さんの「この人が好きなのは、俺だから」の台詞にカッとして掴みかかった有馬君の手首を、「俺も怒ってるんだ」と掴んだ新田さんの左手の甲に浮き出た血管、グッときました。かっこよかった!
有馬君、もちろん暴力はダメ。だけどなぜか憎めない。
「好きじゃないなら、頂戴よ!」が、焦がれて焦がれて、それでも手に入らない大好きな物を欲しがっている、まるで子供のようだなと。
そういえば、これまで、新田さんも巳鹿島さんもお互いに対して、子供のような独占欲を意識したり、嫌いにならないでと懇願したりしていましたね。
人を好きになるって事は、理性を持った大人ですらも、子供のように欲望を剥き出しにさせてしまうものなんですね。
「手中…」本当に読み応えがあって、ずっと大切にしたい作品です。次巻も今から待ち遠しくて仕方がありません。
できれば次巻では、新田さんと巳鹿島さんの想いが通じ合っているところが観たいです!
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