このレビューはネタバレを含みます▼
1:26、2:34、3:36、4:44ページ。最高でした。貧困という地獄の中で、地獄を当たり前として生きながら、ささやかな幸せを見いだして、ギリギリのところで生きている。貧しいから仕方ない、と諦める大人にまみれながら、現状できることをやろうなんて、大人でもなかなかできることじゃない。しかも、それが自分のためでも家族のためでもなく、友人のためだなんて、尊いしか出てこない。また、人間というものはツラすぎる記憶に対して書き換えを行います。生き霊になるほど心残りなのは、そのせいかな、と思う。私の知るケースではペットのネグレク卜に多い。ペットの死後、すごく可愛がっていて最期も世話をして看取った、という良い記憶に書き換えていた人を何人か見たことがある。その人たちは責任感の欠如なので自業自得な筈なのに精神が耐えられなかったらしい。作中の彼は責任感があったがゆえの書き換えに思います。社会問題についても随所にヒントがあり、察せられるところも多い。久しぶりに名作に巡りあった。しかし、社会問題や貧困を身近に感じた事のない現代っこには理解し難いかもしれません。4巻にレ注意とありますが、上手いこと直接的な描写は避けて描かれているので、過激な描写ではありません。なんなら、R18BLのがすごいくらいです。絵が美しかったので、私はエグさは感じなかった。メインの彼らは極めてまっとうな人間らしい人間なのに、善良でまっとうであるが故に現代では生きにくくなっているなんて、世の中の方がおかしくなってしまったんだなあ。