恋が満ちたら
」のレビュー

恋が満ちたら

上田アキ

前作からさらにパワーアップ

ネタバレ
2022年12月27日
このレビューはネタバレを含みます▼ 今年出会った作品だったので1巻2巻と続けて読ませて頂きましたが、あとがきに書いていらっしゃったように3年の月日を経ての今作ということで絵柄もさらにパワーアップされておりました。もちろん前回もとても丁寧な描写や表情など満載で目が離せませんでしたが。
前作の恋が落ちたらをさらに甘々に、そしてお互いが大事だからこその葛藤がうまく一冊に纏まっていました。
最初から甘々ラブラブ全開な2人でしたが、中盤はすれ違いの日々にギクシャクしてしまいます。
ここがもう何とも切ない。だってお互い大好きで大切にしたくて、だから我儘や弱音を吐けない。でも頼って欲しい。大好きだから。そんな不器用な2人の葛藤にもう胸が締め付けられる想いでした。
これって同性だとか異性だとか関係ないですよね。
恋人だからかっこよくて素敵な自分を見ていてほしいし、無理を言ったら嫌われてしまうかもしれないってどこかで考えて一線を引いてしまう。
でもそこで一歩、今度こそ見つけた大切な人を失いたくない2人が歩み寄る橋の上でのシーンは必見です。
言葉がなくても表情で景色で、その場の空気感がぶわっと目の前に広がります。
上田先生の絵ってとても不思議な力を持っているように思うんですよね。まるでそこに自分がいるのかと錯覚に陥るような描写が多くて、お花見のシーンなんかは桜が舞い散る風の強さまで近くで感じられるようでした。

無事に今まで通り、もしかしたら今までよりももっとお互いの大切さを実感した後の終盤で、孝史さんが『ふたりのこれからをより良く暮らすための話し合い』とこれまでのすれ違いを語るシーンがあるんですが、このセリフを聞いて、ああ2人ならこれからも大丈夫だ。きっとまた躓く事があるかもしれない、すれ違う事があるのかもしれないけれどきっと2人で乗り越えていける、と確信しました。

これで完結してしまうのが本当に勿体無いくらいずっと2人のこれからを見守りたい気持ちですが、今でも2人仲良く洗濯物を干している姿が目に浮かびます。
奇跡のような2人の出会いを覗かせて頂いて幸せな気持ちでいっぱいです。
大切な作品に出会えたこと感謝します。

買おうかどうか迷っている方がもしいらっしゃいましたら、甘く温かい2人の生活をぜひ覗いて見てほしいです。恋というより愛に溢れた2人に出会えるはず。
自信を持っておすすめしたい作品です。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!