被写界深度
」のレビュー

被写界深度

苑生

表紙とタイトルでビビッときた人は即購入!

ネタバレ
2022年12月31日
このレビューはネタバレを含みます▼ じっくり読ませる系の作品です。ふたりの心の軌跡が丁寧に書かれています。
拗らせてる早川くんの、そこに至るまでの諸々は苦しい。天賦の才、しかも家庭的にも恵まれている。なまじ才能がある分、早川くんに絶対追いつけないとわかってしまう山ちゃんが羨ましくて妬ましくて気持ちが黒くなるのは物凄くわかる。
でも因果は巡る、とでもいうべきか、夢に向かってほぼ迷いのない紺ちゃんを羨ましく妬ましく思ってしまう早川くん。そこから最初に芽生えた気持ちはかなり歪んだ好意だったけど、紺ちゃんのパワーなのか、綺麗な形になり音楽にも向き合えて、よかったなと。
このまま出会わなくてももう早川くん大丈夫かと思うけど、やっぱり再会できて気持ちが通じあえて、物語としてはこうでなくちゃなぁとしみじみ。
あと、脇役の面々もいい。なぜか父の影が極端に薄いけど早川家族や杏ちゃん、多田さんなど、彼らの人生も知りたくなる。勿論山ちゃんも。どこかで救われていることを祈る。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!