このレビューはネタバレを含みます▼
どうして今までこの作品を知らなかったのか!!
出会うのが遅かった!出会えて良かった!!!
と、心から思えた作品でした。
人を愛する尊さ・互いに赦し慈しみ合うことの大切さ・心も身体も全部欲しくなる激しい情愛。
その全部が描かれた、『大人のためのBL作品』でした。
人物の心情描写が表情だけでなく、指先や小道具・照明の明暗に至るまで映画のように表現されていて、上田先生の力量にただただ驚愕しました。
前作「恋が落ちたら」の恋人期間を経て、人生のパートナーになっていく様が本作で見事に描かれていると思います。
年齢を重ねれば重ねるほど、あるいは社会的に責任のある立場であればあるほど、ましてや男同士なら、弱い自分は簡単に相手に曝け出せないでしょう。
本作の菱本さんも例に漏れず、ある意味「作った」自分・余裕のあるオトナを無意識に取り繕って佑樹くんに接していたので、佑樹くんからすれば「見えない壁」があったんですよね。
佑樹くんはそのことを寂しいと感じつつも、言葉にして伝えられなかった。
そういった壁を取り去って本音で向き合うことで、かけがえのない存在になっていく菱本さんと佑樹くんがひたすら愛おしいです。
佑樹くんを求める際の菱本さんのオスみは素晴らしく情熱的で、「壮絶な色気」ってこの人のためにある言葉だよねと思わずにいられませんでした。
とにかく、どうかレビューを信じて読んでみてください。一生忘れられない作品になりますから。