このレビューはネタバレを含みます▼
ここまで心を奪われる漫画は、私が今まで読んできた中でありません。唯一無二の漫画です。
自分を助けてくれた相手は誘拐犯になり、いずれ捕まってしまう。それでも、未来がなくても生きることを選んだ2人の懸命な姿に心を打たれました。
ラストで幸が言っていた通り「人として愛される時間が少なかった」お兄さんが、松葉瀬さんや八代さんに囲まれ、少しずつ生きる道や希望を持ち始めたのに感動しました。
お兄さんの「父親」が言っていた通り、やっぱり人はひとりじゃ生きていけないんだなと思いました。
ラストは悔しい結果だったし、普通に考えて警察の警備体制があそこまで緩いはずもないとかツッコミたくなりましたが、まあ良しとしましょう。
しばらく虚無感が半端なくてずっと落ち込んでいて、なんでなんだとかかなり考えました。誘拐犯だったとしても、少女に生きる道を与えたのには変わりないのに、世間から批判され、結局は彼の生きた記録も知られないまま死んでしまいました。少女が残したあの動画で多少は影響を受けた人もいると思いますが、それでもきっと、何も知られないままなんでしょう。一人で生きてきて、やっと幸せを掴めそうだったのに、あんな終わり方じゃお兄さんが可哀想で溜まりませんでした。
でも、結局は父親に出会えて、幸と暮らした「幸色のワンルーム」の思い出は、みんなに分かって貰えなくても少なくとも探偵さんや幸の記憶に永遠に残っていると思います。それだけで、少し救われました。
最後まで幸の本名が作中に出てこなかったのも、死んだも同然だった少女に「幸」という名を与えて、新たな人生、幸せな人生を歩んで欲しいというお兄さんの願いが込められていたからなんじゃないですかね。
本当に考えさせられる、深い話です。
もし良かったら、もっとお兄さんが笑ってる絵を見せてもらいたいなー、なんて思います笑
本当にお疲れ様でした。