このレビューはネタバレを含みます▼
トラウマ的な意味で女性嫌いや潔癖症拗らせてるヒーローはよく見かけますが、その克服をきちんと描いてる作品は初めて見ました。ヒーローがヒロインを拒絶するのも理解出来るし、歩み寄る様も自然で、イライラすることなく読めました。ただ、どうしても納得いかない点が2個あって、一つは、恐らく作者さんに性被害についての理解がないということ、もう一つは悪役(？)がお咎めなしなことです。
前者について。幼い頃に逆レされかけたトラウマで女嫌いになったヒーローを周囲が軟弱者扱いして、無理やり結婚させようとした、というのが本作です。これ、作中で問題視されなかったどころか、ヒロインまでもがこの女嫌いを『面倒』ってはっきり言っちゃってる時点で、恐らく作者さんは男性の性被害を重く捉えてないんですよね。ヒロインを拒絶するヒーローに、最低の男だ！って憤るモブをヒロインが咎めなかったことからも察せられます。なんでレ○プ被害者のほうが悪いって話になるのでしょう。これヒーローとヒロインが逆の立場の話だったら多分、感想で非難轟々だったのでは？まあこれについては、最後まで読むうちに気にはならなくなってきます。
ただ、もう一つについては論外。件の事件当時、8歳だったヒロインは、お姉様方に頼まれて何も知らないままヒーローを呼び出しました。その結果、逆レ事件が起き、ヒロインは罪の意識を抱えることになります。これ、どう考えてもヒロインに罪はなく、むしろ被害者です。しかもヒーローを助けたのはヒロインなので、感謝されてもいいぐらいでしょう。なのに、罪あり、と、王太子がヒロインを追い詰めて修道院送りにしようとします。この王太子、最終的に一切咎められなかったどころか、姑息にもヒーローにはいい顔をしながら彼にバレないところで、今回は諦めるけどいつか裁いてやる的な脅しをして終わりました。酷い。しかも、王太子はヒーローに恋情を抱いていて、ヒロインへ嫉妬を募らせた結果の行動ですよ。そんな理由で罪なき女の子の人生壊そうとするとか、もう救いようのない最低のクズです。せめてヒーローとの友情が消えるくらいはしてほしかった。これからも親友面してのうのうとヒーローの傍にいるのかと思うと、腹たって仕方ない。
王太子さえいなければ星4にしてました。加えて性被害の扱いがもう少し違えば星5にしてたかな。その辺りが気にならない人なら普通に楽しめる作品だと思います。
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