グレイゾーン
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グレイゾーン

朝御飯丸

人を好きになることとは

ネタバレ
2023年1月10日
このレビューはネタバレを含みます▼ 大学生で同じバイトの晶と創一の話。初作者さんで、レビューの良さに気になってて買ってみました。最初から最後までローテンションで、BLにありがちなキャッキャ感もイチャラブもなく、なのにグイッグイ惹き込まれる作品でした。人を好きになるって、優しくされたとか、他の人には否定された面を認めてもらえたとか、性的に魅力的とか、顔が好みとか、可愛くて仕方ないとか笑、一緒にいて素でいられて楽しいとか、それはもう色々あるわけだけど、本作のそれは既存の私の中の概念には無くて、でも実は好きになるって本質はこうなのでは?とうすら恐ろしくなった。通常のBLでは、相手の内面や外面に惹かれるけども、本作では晶は創一からの影響によって変わる自分の立場・状況に惹かれてるんだよね。普通の枠から脱することができない自分を、異常な枠にはめてくれる創一に。それって、相手じゃなくて自分が好きなわけで、すごく自己中に思えるんだけどでもそれは真実であり、そして私もそうかもと。人を好きになるって結局は相手そのものじゃなくて、相手から反射される自分を見て好きとか嫌いとか思ってるのかも。ラスト、何かから解放されてスッキリした表情の晶が印象的で、自分のいる状況を変えてくれる創一自身への愛もあるのかなあと思ったり。創一視点も少し描かれてて、でもそこでは晶が可愛らしくて癒されて自分のものにしたくなった以上には読み取れず…もしかして創一もなにかしら心の奥底には別の何かがあるのでは?と考えたくなってしまう…面白い作品でした。あと大事なことだけど、修正甘めで嬉しかったです。
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