このレビューはネタバレを含みます▼
僕は一昨年の初夏に「秘密の授業」でコミックシーモアデビューしてから間もなくこの推理小説の存在を知りました。表題作で7作目の「殺意のまつり」と言う短編推理小説、山村美紗氏の長編デビュー作の「マラッカの海に消えた」と同じ時期に執筆されたそうですね。殺人事件の被害者の「遠山年子」と彼女の娘の「麻子」と真犯人の「林進一」と冤罪で服役しました「飯島貢」、みんな可哀想です。逆に「遠山栄造」に無性に腹が立ちます。みんなこの男の「妻への殺意」の犠牲になりましたから。1作目の「残酷な旅路」の主人公の「西園亜沙子」の夫の「秀之助」にも「殺人事件の被害者」とは言え、猛然と腹が立ちました。この男が普段から主人公に優しくしていれば殺人事件は発生していなかった筈ですから。山村美紗氏は若い頃に株の売買で大儲けしましたが、その頃の経験が2作目の「恐怖の賀状」の殺人犯の「笠原洋一」のトリックにも十分生かされています。世の中には4作目の「五〇パーセントの幸福」みたいに「殺人事件が発生しない推理小説」も結構あるものですね。4作目の「黒枠の写真」の殺人犯の「大沢五郎」みたいに会社の上司に腹を立てる気持ちはわかりますが、「殺人犯」などの犯罪者になってしまったら負けですから。5作目の「死者の掌」の殺人犯の「森千秋」も可哀想です。被害者の「大八木三郎」に父を殺されたのが原因で「殺人犯」になってしまいましたから。6作目の「孤独な証言」の主人公の「笠井美奈子」の証言はあの夏樹静子氏の「77便に何が起きたか」と言う短編推理小説を鮮明に連想させるものでした。まさかあの「木原洋一」と言う好青年が「飛行機爆破犯」だったとは…!