愛しいろくでなしの手放し方【単行本版】
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愛しいろくでなしの手放し方【単行本版】

田中森よこた

思ったよりずっとずっと深い話

ネタバレ
2023年1月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ こちらもずっと気になっていた作品です!半額になったので、ガッツポーズで買いました笑。

6つ下で引きこもりの真央と、真央のお世話をする千種のストーリー。真央がぐうたらしてるので、最初は3年前何かあったらしいけど、怠惰の部分もあるのかなと思っていたら、思った以上に重かったです。虐 待(ネグレクト)に遭っていた真央と出会い、ずっと真央のそばにいて支え、愛情をくれた千種。真央にとって千種はかけがえのないたった1人の大切な人。そんな人が自分のせいで怪我をしたとなると、ショックが大きすぎたのも頷けます。千種と片時も離れられなくなったとか、過度の心配性になったとかではなく、引きこもりになっちゃうあたりが、彼の生い立ちに起因するんだろうなと思いました。親に大切に育てられてきていないので、自尊感情がものすごく低く、ちゃんとしていない自分は外に出ないほうがいいと思っちゃうあたりが可哀想で悲しい…。子どもの頃の真央が、どんな仕打ちを受けてもニコニコ笑顔を絶やさず、一切すれていないのにも涙が出ました。

そんな真央が、ある仕事をきっかけに「千種に認められたい」と、少しずつ自立をしていきます。自分の手を離れようとしている真央を見て、初めて自分の気持ちに気づく千種…。共依存の行き着く先はどこなのか、ぜひ読んで確かめていただきたい。痛々しさはないので読みやすいです。変に拗れていないのも良き!切なさ過多ではありますが、自分の想いをまっすぐ伝える2人に、すっきりとした爽やかさが残りますよ。エロは真央の雄みと千種の雌みが光っていて、大変おいしかったです。2人のラブラブをもっと見ていたかったな…。

2人の関係や気持ちに焦点を当てて描かれているので、その他の説明不足な部分もあります。真央の母が出て行った後はどうなったの?まさか1人で住んでいるわけじゃないだろうし…とか、児相はあっさり引きすぎじゃない?とか、真央のモデル、あんなナヨってていいん?とか笑、モデル仲間の関係性がわからなかったりとか(最後に少し描写だけあり)。なので、ストーリーの背景が気になる人は多いかもしれません。私も、「ん?」とは思いましたが、それに負けない2人の想いの強さに強く惹かれました。私は好きでしたね!
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