ポーの一族
」のレビュー

ポーの一族

萩尾望都

詩が似合う稀有な作品

ネタバレ
2012年9月22日
このレビューはネタバレを含みます▼ もーさまは、お恵センセ達と本当に仲良しだったんだなぁ~😃と、擬音の字体とかモブの絵で感慨に浸りました。手伝いっこしていなかったらごめんなさい、ですが😁
連載時は苦手でしたが、長じるに連れもーさまの素晴らしさを楽しんでいます。

強制的に吸血鬼にさせられたエドガー、エドガーにより吸血鬼になった妹のメリーベル、メリーベルを喪って哀しみに暮れ、こちらもエドガーにより吸血鬼になったアラン。
主にこの三者を軸に、時代を行きつ戻りつしながら物語が綴られます。

永遠の少年として、長い時を孤独に流浪したエドガーがひっそりと生きる中で何を想うのか…。
外見を裏切るエドガーの老成した思考の一端に、少年らしく刹那的で、切なく、薄いガラス細工みたいな繊細さを融合させた、緻密に練り上げられた作品だと改めて思いました。

この時期…に限らないでしょうが、もーさまは作中に詩を挿入するのが好きみたいです。他の作家さんなら照れ臭くて読めない❗気分になりがちですが、特にポーの一族には詩が似合います。それも適度にセンチメンタルでシニカルで、叙情的で気高い詩です。
著名なミュージシャンがもーさま作品にインスパイアされたと対談したのも頷ける、見事なものです。

発表時期がまちまちだから一読では話を追えず繰り返し読むのですが、何度読んでも飽きない名作の一つでしょう。ラストの余韻が堪りません😢🖤

エドガー、お疲れ様。でもあなたは今もどこかで少年の姿でひっそりと生き、我々が右往左往するのを冷静に眺めている気がします。また、そうあって欲しいという夢を見させてもらえた作品との出会いに、感謝します。
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