私を嫌い、王家を裏切った聖騎士が、愛を囁いてくるまで【初回限定SS付】【イラスト付】
江本マシメサ/ボダックス
このレビューはネタバレを含みます▼
かなり稚拙な印象を受けた作品でした。というのも、明らかにおかしいと感じる展開だらけだったからです。例えば、深夜に鳴り響いた大きな音に飛び起きたヒロインが、音の正体を確かめに行く…というシーンが何回か出てくるのですが、その度に一緒にいる護衛はぐっすり寝ているという有り得ない描写が挟まったり、隣で寝てる護衛を起こさないように抜け出すことに成功する描写もあったりして、護衛とは?ってなりました。これは一例ですが、こういったおかしな展開が他にも数え切れないほどにありまして、まあつまり、話を円滑に動かすための辻褄あわせがめちゃくちゃ適当な作品なんです。王女なんだから護衛がいる→でもヒロインを1人で行動させたい→護衛が邪魔だな…→結果:気配察知能力ゼロのヒロインでも目が覚めるほどの爆音のなか眠りこける護衛の爆誕…って感じでね。同じように、現在進行形で戦闘が起きてる悲惨な戦場で警備に当たってた騎士全員が酒を飲み明かして爆睡するとかいうトンデモ展開の結果、陣地が敵に襲撃される…とかもありました。敵と2人きりにしてヒロインにだけ真相を仄めかしたい!→警備員邪魔だな…酒でも飲ませて寝かせたろ、って思考になった結果の展開なのがみえみえなのですが、戦地やぞ酒以外にもっとあったやろ…と思ってしまいましたね。あとは、ヒーローが絶体絶命の危機に陥った時にヒロインが誰にもできない特別な魔法で助けるシーンとかも、ヒロインがそんな魔法使えるとか特に伏線もなく唐突に出てきて、これぞまさにご都合主義というか、なんかちょっと某ギャグ漫画のソードマスターを彷彿としました。もうとにかく最初から最後までずっっっとこんな感じで、テンポがいいと言えば聞こえはいいですが、まあ大人向けの作品ではないかなというのが私の感想です。細かいところを気にしない人なら楽しく読めるのかもしれません。文章力自体には問題はないですからね。以上です。
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