どうせ捨てられるのなら、最後に好きにさせていただきます
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どうせ捨てられるのなら、最後に好きにさせていただきます

碧貴子/すらだまみ

甘い二人が大好き!

ネタバレ
2023年2月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ 長編です。後半は、主人公二人の想い想われる甘い時間がとても多くて幸せな気分に浸れます。けれど前半は、胸が痛くなる辛い場面が多くて、王太子リュシーに嫌悪感を抱きました。

冷酷で完璧な王太子と言われるリュシーと、そんな王太子を子供の頃から慕い続ける婚約者アニエスの拗らせすれ違いラブストーリーですが、ともかく王太子が酷い!子供時分の誤解等もあるとはいえ、自分だけを真っ直ぐ慕うアニエスを蛇蝎のごとく嫌い、氷の対応で無視する。抱いてる時でさえ「イン売婦」と蔑みの言葉を落とす。中盤、アニエスを愛しいと態度で表すものの、婚約破棄の原因となったリーリエに対して最愛の人であるかの如く慈しみの情を見せる王太子。
……もう、王太子の全てが嫌!!
そもそも家や親や国の政治的な思惑に利用されたリーリエを不憫に思ったとか、素直に慕ってくれるリーリエを妹のように愛しく思ったとか、そんなの全てアニエスの置かれた立場と何も違わないというのに、この対応の違い!
感情を表に出さない教育を受けてきた王太子が、アニエスにだけは心乱されるから敢えて冷徹に接したと言いながら、リーリエに対しては慈しみの感情を表に出していたではないか!
リーリエはアニエスを妬み恨み暴行を働くものの、王太子から咎められることも嫌われることもない…なんて、意味が分からない。それどころか妹の様に想っていたとか、アニエスを本当に愛してるなら有り得ない事!女の外見に惹かれるだけのヘボ王太子はヒーローに相応しくない。むしろこんな王太子はアニエスに捨てられ、アニエスは別に用意された正ヒーローと幸せを掴むというお話が正規ルートなのでは?!
……と、まあ前半は王太子へ怒り心頭でした。
でも、後半ベタベタに甘い二人に、いつしか怒りも消えていました。単純な私(笑)
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