ヘブンリーホワイトキューブ 【電子限定特典付き】
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ヘブンリーホワイトキューブ 【電子限定特典付き】

緋汰しっぷ

画廊を舞台にした救済の物語

ネタバレ
2023年2月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ 拗らせた重めの作品が多い、しっぷ先生。本作もその印象に違わず。しかも受けの瑞口本人の意向もあるとはいえ、かなり胸糞悪いことも多く。拒否権のない状況でのモブとイタすシーンも多く、割とそこの見せ方は少なめで考えられてもいるとはいえ地雷の方も多いことでしょう。でもこのストーリーを構成する上で必要なシーンでもあると思うのです。あれだけ執拗にそのシーンを見せられるので、読者は嫌でも嫌悪感や苛立ちを感じるし、攻めの久坂も同様だったでしょう。それが最後の「本来、部外者が関わるべきでない制裁」に繋がる。ただ好きだとか、何とかしてやりたいという理由だけだったら、あそこまで叩き潰す理由としては弱かったでしょう。叩き潰すからには、その後に責任があるわけで。久坂も雇われの身ですから、そう簡単には手を下せなかったと思います。BLとしては感情だけで突っ走るのもアリなんですけどね。同時に瑞口が諦めにも似た絶望の中で、でも腐ることなく何年も耐えて、それでも心の奥底から沸き上がってくる叫びも感じられたと思います。そこから救い出してくれたのは他でもない久坂。だからこそ最後には公私共にパートナーとなり得たのだと思います。惜しむらくは…ここまで辛かったので、2人の甘々な時をもう少し見たかったな、と。うん。見たかったな!
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