瞳の中の僕を知らない
」のレビュー

瞳の中の僕を知らない

イズミハルカ

久々にこんなに体が熱くなる作品に出会った

ネタバレ
2023年3月12日
このレビューはネタバレを含みます▼ Twitterでの試し読みから来ました。

最初は『記憶喪失した後にラブラブだったはずの年下イケメン彼氏が出てきてそしたら癖強めな当て馬オトナキャラが出てきて紆余曲折あって年下彼氏と大団円ハピエンになるコメディ混じりの割と楽しめなお話なんだろうな〜!』と思って読み始めたらとんでもなかったです。

読んでいて身体中がなんだか熱くなって、気づいたら泣いていました。


この作品では、天性の魅力を持った主人公が、年下彼氏も年上彼氏も翻弄していて、そして同時に翻弄されてもいます。
記憶喪失というネタを、テッパンから外れて非常に上手く扱った魅力的な作品だと思いました。

現在は年下彼氏といる時の方が柔らかい表情をするにも関わらず、かつては年上彼氏といた方が自然体の自分でいられたかのような描写もあり、一体彼らにとって何がどうなれば幸せなのか全く分かりません。
どちらとくっ付くことになるのかも全く分かりません。
そこが本当に面白いです。そしてつらいです。好きです。

そして、過去の主人公の冷たげな性格も、それとは対照的な、記憶喪失後の素直で可愛げのある性格も、両方見ていて楽しいです。

主人公の抱える闇や混乱した気持ちと、相手2人との気持ちの交錯が、とてもぐちゃぐちゃしていて美しくて、感情移入が止まりません。

あと、コマ割りや場面展開、効果音などの描写が上手すぎます本当に凄いです。

アカデミー賞取ってそうな荘厳でドラマチックな実写映画を、そのまま漫画で見ているような、静止画を見ているのに頭の中にその映像や音がしっかり流れるような、そんな作品です。

読んでいて訳もなく涙が出て来るような作品には滅多に出会えないので、本当にこの作品に出会って良かったです。

第2巻も楽しみです。
紙本で出た暁にはそちらも確実に手に入れたいです!
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