ヴィクトリアミランの代償 【電子限定特典付き】
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ヴィクトリアミランの代償 【電子限定特典付き】

篁アンナ

2人の人生の回想の物語かなと思ったら大泣

ネタバレ
2023年3月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「不倫」という言葉に注視してしまって、最初は物語を読むというよりは2人の行方はどうなるのか、そこばかり気になって追っていたのですが、表紙の薔薇の色やタイトルに、あぁ…と1人大泣きに泣き崩れて、あぁ…と思い出しては込み上げる作品です。(突き刺さる歳なんだと思います。)

1巻、2人の再開から始まる物語。表紙、青い薔薇…花言葉・奇跡、死ぬまで気持ちは変わりません。

2巻、白い薔薇…花言葉・あなたを想う。私たちの間には何も入ってこない、と同時に2人の人間が愛し合っているのにも関わらず、一緒にいる事が出来ない、という意味も。

3巻、赤い薔薇…あなたを愛しています。永遠の愛。(色んな意味があるので、間違っているかもしれません。)

物語は教会のシスターの言葉や2人の過去と、彼らの人生が交差します。それとタイトルの「ヴィクトリアミラン」。何となく私は、これは2人の生き抜いた人生の回想の物語なのかな?とそんな風に思ったら、そこから泣きに泣いて。梓の、日々生きる事は終活…の言葉が響いて刺さって。あぁ、こんな風に自分の為に最期、自分自身に愛情をかけても良いんだなと、気付かされた物語でした。(梓と元カレは別れる時、もっと大変だっただろうとか。貴斗と梓、それぞれの人生選択、判断にもっと時間がかかって、色んな事があったのでは?と。どこかつぎはぎの様に感じた各々のエピソードに、あ、これはもしかしたら、あの後、2人一緒に観ているだろう走馬灯、彼らの人生を私も一緒に見ているのかな?。だから2人にとって1番印象深いエピソードしかないのかな?とそんな風に思ったら、深い物語だなと胸がつまって、感動でした。)

不倫の物語というよりかは、人生もうダメだ、のその先にあるものを見せてもらった作品だなと思いました。こんな風に誰かを愛し、愛された人生は本当に幸せ。また、こんな価値観の終活は良いなと感動しました。篁先生、上手い!!
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