このレビューはネタバレを含みます▼
最後はスッキリしていたので、それだけはとにかく本当に良かった。九重くんは、最初から最後まで損な役回りで、これまた不憫でしたが、見てられなさはなかった。前半、メインの二人が、失礼だけどバカとバカが精巣と子宮で恋してしまった、という様相でした。なんと言うか、小学生同士が体前提にお付き合いしているようなハラハラ感がずっとある。そして、黒岩くんは暴力をふるうことに抵抗がなさすぎて、将来有望なDV男です。暴力に対して、一瞬のためらいがあるかないか、そこがDVと非DVの境界線なので。白石さんはずっとマイペースで安定して見ていられた。ヒロインは元々子供のまま大人になった人だったけど、人間としてどんどん退化していって、後半は赤ちゃんみたいになってた。ずっとハラハラしたし、結局、直感にしたがってくっつくなら、もう最初の時点で後先考えずにめちゃめちゃになって恋愛して短編で終わらせてくれれば良いのに、と思ってしまった。祝福感はない。メインの二人に振り回されたような疲れがどっと来ました。最後は結局そうなるんかい、という複雑な感情。かわかみ先生は、躊躇を描くのが上手い。雁須磨子先生もそうだけど。かわかみ先生は脳直や直感的な躊躇、雁先生は思考故の躊躇。どちらも神テクニックの躊躇。描写が上手くて真に迫る。そのわりに、何も考えてない登場人物たちだから、読み終わる頃にはハラハラし過ぎて疲労困憊に。一読で十分でした。