江戸川乱歩異人館
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江戸川乱歩異人館

山口譲司

丁寧

ネタバレ
2023年3月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ エロい現代風な山口先生の絵は通常運転だが、意外にも合っている。それだけ山口先生の脚色がセンス良く、損なっちゃいけない原作の抜き取り方が上手いので、今風の肉感的美人の絵に文句がつけられない(絵自体はめちゃくちゃ上手い)。
言葉遣い漢字遣いはなるべく原作から採用、背景の片隅のポスターやらビール瓶まで世界観を損なわない絵はノスタルジーを煽りとても綺麗。浅草十二階もめっちゃ綺麗。
ここまで色んな作業が丁寧な漫画化は、タイプは全然違えど丸尾末広作品と本作位では。

又、原作に大変失礼だが、原作より面白かった話が少なくない。特に2〜3巻の『押絵と旅する男』と4巻の『妻に失恋した男』は、どちらも「代表作」とされているがタイトル負け幻想ものとつまらない短編推理ものと思っていたので、骨子そのままにこんな毒の足し方があるのかと脚色力に脱帽。
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