こいの徒花【シーモア限定特典付き】【コミックス版】
横澤しっか
このレビューはネタバレを含みます▼
社蓄の山崎が会社に泊まった深夜、泥棒の悠と遭遇して誘拐されてしまう。手足を拘束されているのに出社しようとする山崎の社蓄ぶりと悠の育ってきた環境の劣悪さ、異様な出会い方をした山崎と悠が醸し出す独特な空気に引き込まれる。
悠の背後にはヤクザが見え隠れし、そこには生い立ちが深く関わっていて、時折、悠が子どものように見えるのは彼をきちんと育てる大人がいなかったからだと思うと悔しくてムカついて嫌になる。
季節も風景も目に入らない状態だった山崎が悠と過ごすうちに人間らしさを取り戻し、自分の意思で悠を抱くシーンは普通に考えたらおかしな状況なのに幸せそうだなと思ってしまった。
悠の周りにはろくな大人がいなくて、組長が断トツの外道。でも、奴はクズに振り切っているからモブとして脳内から抹消できたけれど、悠の面倒を見ている三上の方がタチが悪くて心底気持ち悪かった。
警察の白田も正義とかけ離れているものの、悠に対して中途半端な優しさをかけたりすることもなく、己の利益に忠実だからいっそのこと清々しい。
作者さんは三上を萌えキャラと称していたけれど、悠の母親に好意を持ちながら組長を怖れてなにもせず、母親が居なくなってからは悠を母親の代役のようにして囲い、悠の夢が壊されるときも外野で見て見ぬふり。もう本当に三上が嫌い。
三上への嫌悪で☆1にしてしまいたい気分。山崎と悠の穏やかで幸せそうな姿で癒されたのでとりあえず今は☆3。
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