このレビューはネタバレを含みます▼
定時制に通う鳴は17歳、仕事が安定しない父親とバイトをしながら暮らている。定時制に通う生徒の事情は様々で、鳴は経済的理由。小綺麗とは言い難い格好で、ウリまでしても、必死で高校に通っているのは、出稼ぎから帰らない母との約束だから。そんな、薄暗い場所で健気に生きてる鳴とは対照的な、バイオリンが弾けるイケメン岩月もクラスメイト。最初、鳴は岩月が苦手です。高校は夜の動物園で、岩月はユキヒョウ、自分は猫。鳴は岩月に惨めさを感じさせられる。でも、帰る家を失った鳴に岩月が手を差し伸べ、飼うとして、一人暮らしの家に鳴を住まわせます。そこから、二人のBLは、暗い景色を柔らかく照らすランプの灯りみたいに、静かに暖かみを感じながら進むのです。そこに、アオハルやきゅんや、甘々なんてものは有りません。両親から手を離された子供達。何も出来ない子供では無いけれど、何でも選択出来る大人では無い。そんな鳴と岩月の親達は、軽蔑の対象だけど、気の毒な環境でも、芯が強く懸命な鳴が、大人になった時の居場所に救われます。明るい華やかな作品ではないです。ただ、仄暗い始まりですが、懸命に健気に生きているなぁ、お互いが寄る辺になって良かったなぁと、最後はホッとします。健気受け…、うん、鳴はとっても健気。そして岩月も健気攻めです。