銀のくつ
」のレビュー

銀のくつ

四宮しの

優しい優しい物語

ネタバレ
2023年4月16日
このレビューはネタバレを含みます▼ ●6歳のジュンと、メガネのお父さんヨキ、鳥の姿のお母さんリオの家族を中心とした物語。登場人物たくさんで、しかもみんな優しい。
●ジュンの幼馴染みトーマとリリー、幼稚園の気になる男の子ノエル。それぞれのお母さん。(トーマとリリーの親御さんたちは、鳥の正体を知ってるっぽい。)
●他にも、リオの昔馴染みのレイ。小さい頃からリオに想いを寄せてたのだと思われるけど、最近大切な恋人ができた。その彼も、名前は出てこないけど、サンタさんだったり恐竜博士だったり割と大事な役回り。あとはおじいさんとワンコのエピソードもあります。
●目次のとおり、1話1話は短いです。たくさんのキャラクターのいろんな想いが、ぽつぽつと語られてははぐらかされて、読者はあれこれと想像しながら読み進めます。それを楽しめるかどうか…かもしれません。
●ヨキもリオも、“家族”に良い記憶がなくて(それも明確には描かれない)、だからこそ今の家族の幸せを大切に大切に噛み締めているように見える。その日常を、覗かせてもらってる感じです。
●リオの姉ソフィア。冒頭に出てくる女の子。もしかしてそうなのか??と思わされながら、最後の2話でネタバラシされるのですが、彼女がジュンの産みの母。何がどうしてそうなったのかは全然描かれていなくて、そこは消化不良感が残る。
●何も知らない天真爛漫なジュンは、癒し以外の何ものでもない。いつかリオが鳥の姿を解き放つときがきても、素直に事実を受け入れられる子なんじゃないかなぁと思います。
●この本自体はBLよりも家族や人間関係に重きが置かれていて、その面では好きな作品です。あとがきに「ヨキとリオの過去編に続く」とありましたが、それはもう描かれないのでしょうかね…その部分がまさにBLになると思うのですが。彼らの出会いや、どうして今の家族のかたちになったのか、知りたいです。
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