このレビューはネタバレを含みます▼
大昔夢中で読んだ作品。セールを機に再購入。長いシリーズの第一部、合計4冊で、勢いと情熱のあるストーリー。展開や設定、価値観的なものにつっこみを入れたいところもたくさんあるけれど、若き音楽家二人の愛と成長の物語として楽しめた。脇役たちも非常に魅力的、そして音楽の書かれ方も魅力的。主人公悠季(受け)は終始うじうじしているので、こういった人物が苦手な方は要注意。私もうじうじした人物は苦手だが、今あらためて読んでみると、自分の若いときに比べれば悠季のうじうじなんてかわいいもんだと思えるようになった。西炯子先生の挿絵が最高、あとがきも裏話満載で楽しい。
1作目:忘れることのできない圭(攻)と悠季の初めてのシーン。ワーグナーの曲にシンクロさせて書かれるエロ。展開に疑問点もあるが、圭から向けられる恋心に必死で抵抗する悠季、二人の攻防と緊張感がぐっとくる。
2作目:第一部で一番好き。スーパーマン圭に結局ほだされてしまう悠季。強引な攻めにおとされる受け最高。常にポーカーフェイスの圭がプライドすてて悠季に助けを求めるシーンもよい。エロシーンの描写も長めでよい。
3作目:二人がやっと恋人同士に。くっつく前の緊張感が好きな自分としてはちょっとさびしい。番外編として脇役飯田さん視点の話が収録されており、お話としてはおもしろいのだが4作目を読んでいないとピンとこないエピソードも書かれていて、4作目を読んでからこの番外編を読んだほうがわかりやすいかもしれない。
4作目:久しぶりの演奏会が開かれる話。特に心に残ったのは、合宿で、悠季が一人で演奏し始めたら、周りにいたメンバーが次々演奏に加わり、いつの間にか即興楽団みたいになって「遊ぶ」シーン。自分が吹奏楽部だったころのことを思い出して胸が熱くなった。誰かが始めた演奏に、その場にいたメンバーがただなんとなくあわせていって、気づくと合奏になっていてただ純粋に演奏を楽しんでいる。そんな最高に楽しい瞬間が思い出されて読んでるだけでうきうきした。そして、演奏会での悠季の「音楽ってすばらしい、さあ、僕らといっしょに楽しんでください」の想いに強く共感。熱い!音楽ってほんといいよね!な気持ちになり、自分も楽団に入りたくなった。番外編も2篇あって、特に五十嵐くん視点の番外編が楽しくてよかった。