クソッタレever after【シーモア限定特典付き】【コミックス版】
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クソッタレever after【シーモア限定特典付き】【コミックス版】

ウジチャンマン

切なく愉快なハイテンション会話劇!

ネタバレ
2023年4月30日
このレビューはネタバレを含みます▼ いやはや、出だしの吸血鬼と狼男が姫を取り合い決闘を繰り広げるうちに不老不死の呪いにかかり、姫の死を受け転生待ちしてユル決闘をする日々に区切りをつけようとした狼男司狼を猛烈に求婚し出す、吸血鬼吸山田(のみやまだ)というぶっ飛び設定ラブコメか?という予想を超えて、次第に切ない背景が明らかになり、すれ違いに涙する、良作でした。以下、ネタバレ有りレビューです。

吸血鬼の、人間とほぼ同形で捕食対象の人間にとって魅力的な造形をしているのに、人間の運命を変えなくては種の拡大を図ることができない、自らの存在意義に終始悩みながらも、永遠に生き長らえる存在であるという矛盾がもたらす原罪感に、胸をグッとえぐられる切なさを感じてしまう性癖持ちです(ポーの一族の影響で)。
そんな原罪感は、このハイテンションコメディには関係ないのかな…、と吸血鬼モノ好きとして読み始めたのです。お話は脳筋童貞の司狼視点で始まるので、ところどころ寂しそうな表情をしながら求婚してくる吸山田に、一体なんで?と思って読み進めるうちに、吸山田視点で明かされる、辛い過去と、そこから救ってくれた無邪気な幼い司狼との思い出。
それが、親の思惑で姫を奪い合う関係に切り替えさせられたことで、永遠の生命を持つ吸山田が一計を図ることになり、司狼の運命を変えてしまったことに対する原罪感と、でも失えない恋情の発露…もう、この辺りで、さっきまで大笑いしてた自分どこ行った?性癖ぐりぐり抉られてまう…さらに脳筋な司狼が絆されかけたのに、想いがすれ違うくだりでは、切なさのあまり、涙ポロポロ。感情のアップダウンに思わず動揺です。
んが、姫のナイスアシストで、喝を入れられた司狼が、今度は激重感情を拗らせた吸山田に攻め込み、その原罪感を、力技で晴らしていく展開に、吸血鬼=鬱展開という刷り込み性癖の自分が「…眩しいッ!」と感じるほどの救済エンドでした☆なんだかんだ言ってラブラブの2人が微笑ましいデス。

2人のテンポの良い会話とチョイチョイ挟み込まれるギャグ(浣腸出てきたとこ笑ったww)に笑わせられたかと思えば、ギュイーンと切なさに振り切るという感情の揺さぶられ感に、一本取られた!と白旗を上げて☆5。
プロット段階では、受け攻め逆だったそう。ここは吸血鬼攻めで大正解!面白かったー!
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