このレビューはネタバレを含みます▼
頼まれたら断れない泉美と同じ読みの苗字である御曹司の依澄。
貧困家庭で育ち、一家離散した自分が捩じ曲がってひねくれるのは簡単、そんな人間にはなりたくないと頼まれ事を断らない泉美は強くもあり、弱さを認めているところもあり、ただのお人好しになっていないのが興味深い。
依澄にとって他者は蹴落とすもので馴れ合うものではないと叩き込まれ、本人もそう思って生きてきたけれど、泉美と関わるうちに少しずつ変わっていく。
境遇も考え方も真逆の二人が惹かれあっていく話ならば読後感は良かっただろうなと思う。
↓かなりネタバレ
泉美が先輩たちにされたことは暴行事件なのに、大ごとにしたくないと泉美が言ったからといって念書を書かせたくらいで終わるなんてあり得ない。
泉美の台詞に「最後までされてない」とあったのも違和感。部屋に残るコン ドームの残骸は一体なんだったのと言いたい。
依澄も泉美と同じような貧乏学生だったのなら、報復やら何やらを考えて泣く泣く穏便に済ませるというのも選択肢の一つとして仕方ないなと思えたかもしれない。
でも、この作品の依澄ならもっとできることがあったはず。なんのための御曹司設定だよとモヤモヤして本当にスッキリしない。