後ハッピーマニア
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後ハッピーマニア

安野モヨコ

やっぱり面白い!

ネタバレ
2023年5月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ (※追記)4巻まで読了。詩織ちゃんはそうなるのか…。一瞬正解でも人生一寸先は常に読めないよなあ…。しかしこれをホ~ラ見た事かとは言いたくない。カヨ子のヨージへの大失態もだが(普通の漫画の主人公は子供にあの手の失敗はしない、という程酷い)、結局人生どんなに良かれと行動してもどんな目が出るかは生きてみないと分からない。すっとんきょうな笑いにくるんでてもシビアな漫画だ/1、2巻一気読みしての感想です。言葉のセンスも絵のセンスもキレッキレで、本当に面白いです! 高橋がまさかの心変わりだったけど、これはもう、詩織ちゃんとくっつくのが正解で、シゲタと結婚したのがそもそも間違いだったんだよとしか言いようがない…。相性ぴったりだよ。この辺、昨今の度を越した「不倫」バッシング、いや不倫に限らず無関係な高みから白黒バッサリ切り捨てる思考停止な風潮への疑問も込めて、生きてる人間それぞれの事情や心情があるんだよってかなり入念に描いている気がします(詩織が一体何度逃げるんだよってとこや正論王の姉はエクスキューズとしてだろう)。シゲタがイケメン太鼓講師にときめいていたときの、高橋に「髪伸びてない?(なんでおまえはセクシーじゃねえんだよ)」が刺さりました。本音をそういう言い方ですり替える。あるある。だがパートナーへの不満もありつつ口には出さずそれなりに上手くやろうとしてる、という人生のありふれた遣り繰りを、誰が責められましょうか。また、三島の笑顔にキュンと来つつも、「本当に女を愛している男の笑顔(高橋)」を知っているから誘いを断った、のくだりは、しかし逆に言えば、ヤリたいだけの笑顔って分かっていてもキュンとは来るし、愛してくれる高橋にはキュンと来なかったわけで。ままならねえ。としか言いようがない。そういう所が安野モヨコの好きな所です。もちろん、勢いやギャグの破壊力、どのコマ見てもセンスある絵も。 安野モヨコの描く主人公全般には恋愛観も人生観もほとんど共感できないし、友達にもなれなさそう(そもそもなってもらえなそう笑)なんだけど、みんな自分の人生をガッツリ引き受けている感じが、見ていて惹き込まれますし、飽きさせないです。3巻以降、また話がどう転ぶのか楽しみです!
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