MELONSODA
」のレビュー

MELONSODA

遠藤巻緒

青くて脆くてエロい… 好きです。

2023年5月16日
この表紙は今まで読んだ作品の中で5本の指に入るくらい好き!黒でもなく青でもなく緑… 何だか艶かしい緑色の髪と、暗闇の中 人工的な鮮やかさを放つメロンソーダとの対比が凄く効いていて色彩設計がお洒落だなぁ。構図も流し書きのタイトル文字も素敵、ずっと眺めていたい✨ お話は 女装癖のある弟、弟の秘め事を覗き見て欲情し恋心を抱く兄、キメセクにハマる下半身の緩い兄の同級生との三角関係。背徳感のあるエッセンスが散りばめられて大変美味しい仕上がりになっております。イケナイと分かっていても性への興味が多感なお年頃、一度覚えてしまった蜜の味は身体の奥深くに染み込んで簡単には忘れられない。欲望、本能、未熟さ、脆さ、ピュアさ、剥き出しの感情をまざまざと見せ付けられて胸を締め付けられる反面、それを覗き見ている様なゾクゾクした感覚に蜜の味を感じてしまう… 究極の間接キスの思考で口インを受け入れ、その行為に耽る様がブッ刺さりました!哲郎、頑張りが頬の凹みに出ていて可愛いよ… そして口で受け止めた瞬間、お互いの変質的ピースがカチッとハマッた様な気がして、とても大切なシーンに感じました。「自分の心に従ってええねん」と暗示をかける様にカラオケに誘(いざな)い、唇を重ね身体を重ねる描写が凄く好き。「バイバイ」なんて言っている年頃で、胸の苦しみに涙を流しながら夕陽に照らされて自転車を漕ぐアオハルなシーンと、肉欲にまみれる様の対比もグッとくる。そんなに簡単に弟から武雄に心変わりする?とも思いましたが、女装した弟が好きなだけで、まるっと弟を好きな訳ではなかったんだろうな と。あの2cmの隙間から見えた(見せられた)セーラー服の女の子への興味は弟の承認欲求によって性の対象として心に植え付けられたもので、思春期の兄はそれを恋だと思ったのかも知れない。武雄に対する嫉妬心が見えないのだから。初めてを捧げた相手をまさかの兄にNTR… と言うプライドズタボロの弟の爆発・暴言も分かるし、好きが溢れてどう仕様もない2人の気持ちも分かる。正解なんて無いのです。ある種 劇薬によるショック療法でストンと落ち着いた3人ですが、素直に気持ちを伝える事が自分にも相手にも一番誠実なんだよね… 兄の涙とカーテン越しに2人の影が重なるラストシーンはとても美しく心に残りました。そして描き下ろしの反転オチ最高!作家さん、構想中のBL作品と春に会えるのを楽しみにしています😊
いいねしたユーザ4人
レビューをシェアしよう!