けだものたちの時間~狂依存症候群~(分冊版)
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けだものたちの時間~狂依存症候群~(分冊版)

big brother

家族問題、考えさせられる

ネタバレ
2023年5月25日
このレビューはネタバレを含みます▼ ストーカーものかなーと思って読んでみたら案外深くて読めるところまで読んでしまった。親が獣以下じゃんね…、その壮絶さによく生きて来られたなってレベル。壊れないよう表面を取り繕い、自分の人生を守るため女の子は夢を追って独立。でも生々しい記憶は昨日の事のようにいつも彼女を苦しめる。男の方はとっくに壊れていたんだけど、結局女の子の方が男を手放せず生き延びて…。この人なら!と、幸せになれるはずの結婚も、その優しくてよく出来た旦那(何せ犬男を受け入れた)が、良かれとした行動がみごと裏目に。自分の無念を嫁に押し付けないであげてよ、ここまで実家に寄り付かないってことは何かあるって気づかないのか。結果また女の子はメンタル崩壊、犬男にすがることに。いくら愛があっても全部打ち明けない限り旦那と分かり合うのは無理だよなぁ…。同じ傷を舐め合うことでしか癒されないのだろうな。人はキラキラして見えても、心の中までは見えないものだと改めて思った。自戒。確かに有り得ないめちゃくちゃな展開だけど、未成年の家出や子供の虐/待死などにわかに信じ難いニュースも現実にはあって。女の子はどうか最後は呪縛から解放されて自分を愛せる日が来るように、幸せになってほしい。本当の意味で幸せになって復讐を遂げて欲しい。そして絶対許されない存在だけど、女の子が救われるのに必要なんだとしたら、殺人鬼にまで堕ちた犬男も魂だけは救われるようにと願ってしまう。殺人鬼…ストーカー…誘拐犯…弱い、残酷で最悪な人間。だけど周りの大人がクソすぎて、逃げた先もまた地獄。結局自分には母親(のちに自/殺)しかいないこと、また母親も自分しかいないんだと言うことを子供ながらに思い知り、助けてと叫べない絶望感に泣いちゃうよ本当に。
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