滅法矢鱈と弱気にキス【コミックス版】
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滅法矢鱈と弱気にキス【コミックス版】

腰乃

斬新な切り口のオメガバ。CPが最高👍❗

ネタバレ
2023年5月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ 通常のオメガバ設定とは異なる視点が斬新で、またそれが最高にハマって面白い。ほぼ番(つがい)認定されたDKの横須賀と医者の静香ちゃん(♂)。可愛い女の子希望の横須賀は静香ちゃんを速攻拒絶。しかし静香ちゃんは自分を番にすれば横須賀にとっていかに利益があるかを、プレゼンさながらに猛アピール。ケガで入院してきた横須賀の治療過程でその効果を実践してみせるから説得力は抜群です。一方で横須賀は、静香ちゃんが見せるΩの本能に基づく生々しい能力や生態にドン引き。とまあ、オメガバにありがちなロマンチックなラブ要素は序盤はほぼ皆無。腰乃先生らしいユーモアに包まれているとは言え、綺麗事を排除したαとΩの現実的な関係性をむしろ露悪的に表現しているのが、なかなか見ない視点で斬新でした。しかし中盤からは、静香ちゃんは自分の弱さも素直に横須賀に見せるようになり、横須賀もΩの生態を勉強し、静香ちゃんの医師としての優秀さや人としての優しさを知り、次第に2人の距離が縮まっていきます。で、この2人の造形が本当にいい❗ 静香ちゃんが、Ωとしての運命に苦しみながらも投げやりになったり他人を恨んだりすることなく、人としての幸せをつかむために、何度失敗してもお見合いに臨み、何度拒絶されても横須賀へのアピールを止めない姿には感動しました。そして、単純だけれど漢気に溢れ、いざという時は必死に静香ちゃんを守ろうとする横須賀もカッコいい。かつてΩ宣告された時に「(自分が幸せにし、自分を幸せにしてくれる番なんて)んなの俺にいるわけねぇよ」と泣いた静香ちゃんのコマの次に、「んなのはちゃんといた」と横須賀のコマ。このセンス最高だ。当初無愛想だった静香ちゃんの表情がどんどん愛らしく変わっていくのも見逃せない。腰乃先生の作品の中でも一番大好きな作品です。
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