嫌な奴
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嫌な奴

木原音瀬

嫌な奴×酷い奴

ネタバレ
2023年6月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ ずっと嫌っている幼なじみの三浦に亡霊のように付きまとわれて最後には...という話。確かに最初は三浦を嫌な奴だなぁと思っていたけど、途中で「あれ?主人公も大概じゃない?」と思い始め、だんだん似た者同士なのかもしれないと思えてくる。離れようとしてもなぜか引き合ってしまう。腐れ縁のような、見えない運命で結ばれているような二人。三浦は不器用な乱暴者。だけど、時折見せる弱さ、嫌われても一途に思い続ける純粋さが伝わってきて憎めなくなっていく。作者の『箱の中』に人物造形が近いと思いました。基本的にハッピーエンドで甘々な関係が好きですが、これはこれでアリかもと思えるのが木原先生の手腕ですね。辛い描写が多いのに、不思議と読後感が良くて感動しました。
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