うらめしや
」のレビュー

うらめしや

魔木子

魔木子先生の江戸モノ

2013年6月2日
日本語表記に不備を発見したので、加筆修正します。

魔木子先生はちょくちょく江戸時代の設定で作品を描いていて、人気があるから継続しているのでしょう。

魑魅魍魎や妖怪が主テーマのはずです。が、途中から人情物や世話物メインになって、そこに妖物が絡むスタイルに切り替わっています。正直、怖くもなんともない。

自分の妖感知体質を哀しみ自棄だったお妖が、自称ちょっぴりちんぴらの巾着切り(現代の感覚だと無職でスリで遊び好き青年)、二つ名は疾風の佐治と出会ったことで、ツンデレは健在ながらも母として女房として女として、時折素直な本音を漏らすようになった展開が魅力なのか?

双方とも肉親との縁が薄いけれど愛情深く、実は真面目で人情派で純なキャラ設定です。
美味好きが高じて小料理屋を開いたという意味で勤勉で、元来が世話好きな佐治の影響を受け、他人への信頼感を取り戻したお妖は江戸界隈で人助けを続けるのですが…。

初期からだからかなぁ。面白いのだけど、美形キャラの殆どが馬面しゃくれ顎で興醒めしてしまった。後半も似た感じの絵柄があります。脇や悪キャラの顔が似たり寄ったりで、まるでテレビの時代劇みたい。長屋のキャラは味があって大好きですけど、転居してからは微妙……。

その代わりみたいに、子どもキャラは可愛く、女性陣ともに華やかな着物も乙、洒落や愛嬌もあります。

スムーズな展開で面白く読み易いものの、謎解き要素も妖物の扱いも軽い気がします。伏線を活かせていないというかご都合主義すぎるというか……人気が出ちゃったから無理矢理新キャラを出したり新展開にしたりして、長期に連載しているのか?と疑いたくなります。

個人的には『変化のお梛事件帖』シリーズの方が、伏線を活かした作品と思えるし画も安定し話が凝縮されていて、好き。だからこちらは☀4にしました。
いいねしたユーザ3人
レビューをシェアしよう!