魅了が解けた世界では
」のレビュー

魅了が解けた世界では

暮田呉子/春野薫久

ずっしり

ネタバレ
2023年6月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ まずは、追放→ざまあでハッピーエンド、みたいな単純なストーリーではなく、じんわりドロドロなその後を新鮮な切り口で描いた作者様に拍手。
拍手だけど、ハッピーエンド好きな自分としては、すっきり楽しいお話ではないのと、キャラクターによってはモヤモヤが残ったので、繰り返し何度も読みたい!とは思わないのがなんとも言えないところ。でも、この作品がハッピーエンドかそうでないかは読み手によって変わる気がします。多分好きな人は好きだろうなと。
ちなみに、ひどいことをした相手との元サヤエンドが嫌いで、ざまあはしっかりやってほしい派な私でさえ、王子の結末は可哀想すぎました。ヒロインを虐げた他のメンバーも同様に可哀想な結末ならまだ良かったのですが、なにげに一番ひどい宰相が一番もとからの望みどおりの人生で、弟も本来望んでなかったとはいえ充分恵まれた人生で、王子ひとりつらすぎでは…。(そういえば騎士はどうなった?あと騎士の元妻に救いをあげてほしい…)
多分、このうっすらとしたモヤモヤは、隣国王太子も、ヒロインの夫も、私の感覚ではあまり良い印象を持てなかったことによるものと思います。ヒロイン夫に好感が持てたらハッピーエンドだと思うので。
でも、隣国王太子や夫のキャラクターの描きかた、ヒロイン虐げ側の明暗の差が、甘いだけじゃない厚みのある世界観を感じさせてくれました。
個人的には好みと少し違うけれど良作だと思います。
いいねしたユーザ2人
レビューをシェアしよう!