半分あげる【単行本版(シーモア限定描き下ろし付)】
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半分あげる【単行本版(シーモア限定描き下ろし付)】

有馬嵐

朝焼け海辺のような爽やかなキラキラへ

ネタバレ
2023年6月5日
このレビューはネタバレを含みます▼ 真っ白で、虚無で、何でも受け止めて受け入れて、抵抗しないでただ風に靡かされる白旗のような生き方しかして来れなかった白木。本当にスポンジみたいに何でも吸い込むけど、普通ならそこで生まれる感情やプラスマイナスよりも「諦め」を先に付けてしまってたのかな。たくさんのことを吸収するけど、心は全てを反射してしまうような白なんだな…と思い至ったところで、あぁ…名前通りじゃん…て。
反対に、黒川にはちゃんと意志があって人間くさくて、ひとつの選択の意味や過去に囚われたり、両手に抱えられる分は全部大事にしたい性格。白木が反射するのに対して、黒川は小さな仕草にも心動かされるくらいの繊細さがあるけど、大胆さや芯の強さ、真っ直ぐさがある。えぇ…慎ってそのままじゃないか…好き。

そんな名前の感想はどうでも良くて、今まで気になりつつカートに入れ続けてたんですが、レビューを再読して思い切って購入。先人の方々ありがとう…偉大すぎる…。
白木の過去よりも、乗り越えた今の姿やそれでも変わらずにいてくれた心に涙がぶわわっと溢れてしまいました。良かったね良かったねぇええ!
あの日のあのタイミングでの遭遇を運命と言わず何と言えばいいのか、私は知らないよ。
期待もしない、見返りも求めない白木だから言えること、真っ直ぐ受け止めてくれる黒川だから返せること、そこにある青春、大人のずるさ、愛と優しさの合体、タイトル回収…詰まってるけどちょうどいい。重いけど軽い。トンネル抜けた先が朝焼けの海辺みたいな読後感。なんか全然まとまんないので、先人の偉大なレビュー達を是非。
私はこのままもう一周してきます!出会えて良かった!色んな意味で!
いい作品をありがとうございました!!

あ、妹ズさいこー!
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