このレビューはネタバレを含みます▼
昭和を生きた女、瞳子の一生を描いた長編小説のような壮大なドラマです。彼女の身の上に次から次へと降りかかる数々の出来事全てが、あの時代のあの階級の人だったらあり得ることばかりなのでリアリティがあります。長編ですが、どんどん先が読みたくなって一気に読めてしまいました。主人公以外にも(むしろ主人公以外のほうが?)魅力的な「強い」女性が多く登場するので楽しめました。
ただ・・・、個人的にはどうしても昇吾の裏切りが許せなくて、読後しばらく経った今でもモヤモヤ感を引きずっています。瞳子の場合は「裏切り」ではなく強制的な行為だったので彼女自身が悪いわけではない。それを「許してくれた」昇吾だからこそ今度は瞳子が受け入れるのかもしれません。でもやっぱりどうしても納得できない! 昇吾だってお見合いの日に瞳子を襲ったわけだし、悪いのは昇吾と新之助で瞳子に非はないはず。だから芙美香との裏切りが嫌でたまらない! それでも瞳子は昇吾を許すのですが、後になってから望恵とのことで苦しみ、それが読者としてやっぱり辛い。まぁだからこそ昇吾はあのような事故に遭うのでしょうが・・・。女性マンガというジャンルなので、作家先生は意図的に人間のドロドロとした性を描かれたのだと思います。ものすごくワクワクしながら面白く読めたので、思い入れが強い作品になりました。だからこそ個人的には昇吾にああいう形で瞳子を裏切って欲しくなかった〜。