このレビューはネタバレを含みます▼
赤ちゃんの入れ替え自体酷いしアンナが本当の家族のところに行く場面はかなり悲惨なんだけど、登場人物が全体的にサバサバしているというか前向きなので悲壮感はあまり感じずに読めます。
何が起ころうが日常は回って行くという意味ではリアリティのある描写とも言える。
ただ全体的に事実の描写が主で、情景や心理の描写にあまり文章を割いていない印象を受けます。
特にその傾向はアンナに関わる重要人物ほど顕著で、ヘンリーやアネットの心理描写はほぼ無く(というか本編の出番もあまり…)、エドも彼らよりは出番はあるけどやっぱり心理描写は少なく感じました。特にヘンリーが全然出てこなくて、意図的に出してないのかもしれませんが終盤でアンナと対面した時お互い普通に接してたことに、違和感と描写不足の感を覚えました。キャラクターの後悔や葛藤など、そういう描写を期待して読むとちょっと物足りなさというか齟齬を感じると思います。
ストーリー自体が前向きで明るい感じなのでそういう作品として読んだ方が良いですね。
あとまあ強いていうなら、チェンジリングで苦労する平民と貴族の子の話が書きたいのか、飯テロ話が書きたいのか若干どっちつかずというか、どっちかに絞っても良かったんじゃ?と思いますが、これは読者の好みの問題かな。
個人的には原作のこっちよりもコミカライズの方がおススメ。