半分あげる【単行本版(シーモア限定描き下ろし付)】
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半分あげる【単行本版(シーモア限定描き下ろし付)】

有馬嵐

きみの隣にいると幸せが何かわかる気がした

ネタバレ
2023年6月10日
このレビューはネタバレを含みます▼ レビューを見て、試し読みも見て覚悟を決めて読みました。大人に搾取される子供は見るに耐えないので。
それでも凌駕するくらい秀逸なストーリーと巧みな言葉選びで涙が溢れました。ストレートな言葉ではなく、雰囲気で読ませていく漫画なのかな。。読み解くのが下手っぴな私ではなかなか気持ちを伺いしるのが難しく、題名の意味がハッキリと分からなくもやもやしてしまいましたが。
平凡などこにでもいる普通の大家族な家庭で育った主人公。
生活のため身体を売るのを強要されていた同級生との逃避行が物語の筋なのですが、逃避行中の白木君の経験値を暗に表現している所が素晴らしかったです。普通との差、多分黒川君はそのちょっとした違和感を読者と共に感じながらもハッキリと言葉には出さない。そして、黒川君の「普通」な家族の話を素直に受け止めて自分の境遇の違いを目の当たりにしていたであろう白木君。たったの37時間という短い逃避行でしたが、その後も悔やみ続けた黒川君。そりゃまだ高校生。そこまでやりたい様には出来ないよ。悔やむ事が黒川君の優しさだったのだろうと思います。でもその逃避行があったからこその大人になってからの再会に繋がって、意味のあるものだったと2人で勝ち取れた幸せに繋がっていくのかな。と思いました。白木君は手を差し伸べてくれて自分の意見を尊重してくれた黒川君に刷り込み的に好意を抱いたのかな?と思っていたのですが、表紙帯のレビュータイトルがそのまま気持ちを謳ってて読了後胸を打たれ、初めてレビューを書く事にしました。
2人のそういった表現もありますが、1本の綺麗な映画を観ている様なBLには収まりきらない素晴らしい作品でした。
皆さんに是非読んでもらいたい!!
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