梅雨のプール~溺れる僕の腕をつかんだのは君~
」のレビュー

梅雨のプール~溺れる僕の腕をつかんだのは君~

榎戸鍵/冬乃郁也

素晴らしかったです

ネタバレ
2023年6月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ まず続編でもないのに、冒頭に主要キャラクター四人の関係性が人物紹介として書かれている不思議な構成に驚きましたが、読み進めてすぐにその冒頭の人物紹介が必要だったとわかります。読む前にこんな関係だとわかって読む覚悟が必要だからです。
一人の天真爛漫な男真尋に惹かれる二人の男。一人は真尋の恋人京介、一人は真尋の元恋人で幼馴染亮達。そしてその幼馴染の恋人理日斗。亮達と真尋は浮気をしておりそれを知っていても動けない京介と理日斗の異常な関係を、それぞれの人物の一人称を経て推移していく物語です。
読み進めるのに苦しめられましたが、読み終わって読んでよかった作品の一つとして心に残ると思いました。

このお話は人間のいやらしさをある意味強調するように描いて、あまりの醜悪さにめ眩暈を起こしそうになりますが、そうだからこそ、読みごたえがあり、どうなっていくのだろうかと読み進めずにはいられなかったです。
そして彼らの着地点は納得できるものでありました。
あまりネタバレしたくないのでこれ以上は言えませんが、例えクズであろうと人は生きており彼らは彼らなりに幸せになろうとあがいているし、それは決して否定されることではないと思う方は是非読んて欲しい作品です。
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