花嫁は泡沫の嘘をつく【マイクロ】
」のレビュー

花嫁は泡沫の嘘をつく【マイクロ】

京町妃紗

読めば読むほどおもしろい!!

ネタバレ
2023年6月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ 凰介が百花だと気づいたのは、倒れている花耶を見た町民が「百花ちゃんが死んどる!」と言った時、凰介が驚いた表情を浮かべているのですが、その時だと思います。なぜなら凰介は、二人を発見した時に最初から倒れているのが花耶だと分かっていたからです。町民達は二人の区別がつかないから服装だけで百花だと思い込んだけれど、凰介が二人を発見した時「え…?」と言っており、なぜ二人の格好が入れ替わってるのかと驚きながらも介抱していたのではないでしょうか。その後、町民達の「百花ちゃんでよかっ…」のセリフを聞いた凰介は、涙を流しながらも呆然と百花を見つめていますが、その凰介のアップの表情は、全てを理解した瞬間の顔だと私は思いました。凰介が最後言っていた「入れ替わってるの見て魔がさした」つまり、二人を発見した時に気づかないふりをしようと魔がさしたわけです。物語の最後にもあるように「あの日々のすべて」とあり、結婚してからの半年間全て百花に対するものだったと凰介は言っている通り、本当に最初から…「俺と結婚しよう」の所から既に凰介は相手が百花だと分かっていたんだと思います。婚儀の際、凰介が早々に百花を会場の外に連れ出したのも花耶を装っている百花を気遣ってのことだと思いました。百花だとずっと気づいていたからこそ、凰介がうっかり名前を呼びそうになったのも頷けました。読めば読むほど、凰介の気持ちが炙り出されて来るようで、見方も変わります。凰介と百花は古い風習の残る田舎を出て二人で都会暮らしをしますが、例えあのまま問題なく二人が両思いになり古い風習を背負った田舎で夫婦になるよりは、親戚がいない都会に出て二人だけで暮らしている今回の結果の方が断然良いじゃん!と思います。遠回りした分、想像を超えた幸せが訪れた様子に心が潤い、本当にハッピーエンドだと思いました。花耶も新しい婚約者と幸せになってほしいです。ちなみに…凰介でもすぐに気づいた百花と花耶の入れ替わりに、実の親が全く気づかないのはちょっと残念な親だな…と思いました(u_u)
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