有賀リエ連作集 工場夜景
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有賀リエ連作集 工場夜景

有賀リエ

誤魔化されてるかんじが拭えない

ネタバレ
2023年6月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ 物語としては破綻ないと思うけどところどころに疑問を感じるし誤魔化されてるように思える。ご都合主義的なかんじ。結局のところ貴臣はお母さんが感じた絶望や事件後の苦しみを他人事のようにしか思えないってことかな。お母さんが経験したことは一生残って消えないのに。貴臣は、加害者(父親)とその娘(碧)を分けて考える。それは立派なことだと思う。でもそんなすぐにできる?一旦は悩んで苦しまない?お母さんレイ プされたんだよ?レイ プがどんなものか経験しないとわからないのかな。貴臣は元々彼女のことが好きだったから分けて考えたいだけじゃない?それはただの利己的な考えが理由だよね。もちろん加害者の家族だからって何されても何言われてもいいわけじゃない。橋本が碧にしたことは立派な性暴力です。同意もなしに「親と一緒であんたも無理矢理が好きなの?」って言って制服のスカートをめくり下着を晒そうとするなんて性的な暴力でしかない。なんで橋本は正式に処分が下されてないの?学校の謹慎処分とかあるでしょ。もちろん殴られた被害者でもあるけどそれとは別。結局性暴力のこと軽く見てるのかなって思った。だからその辺を期待して読まないほうがいい。もちろん貴臣も母親の苦しみを背負うべきだとか言いたいわけじゃない。でも理解が足りないと感じる。結局は、被害者家族と加害者家族の恋愛物語で性暴力は物語のオプションみたいになってると感じる。当事者じゃない狡さがある。なんで性暴力っていう題材にしたの?これが殺人事件で母親が亡くなってたら?同じことできるのかな?レイ プも魂の殺人なんだけどね。心の傷って外からじゃ見えないもんね。
貴臣は、お母さんがレイ プされた事実より、自分と碧の思い出のほうが大事だったんだね。
碧を見てお母さんがレイ プされたこと思い出さないのかな?苦しくならないのかな?
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