獣はかくしてまぐわう
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獣はかくしてまぐわう

沙野風結子/小山田あみ

煉条とカメレオン桐山の回

ネタバレ
2023年6月25日
このレビューはネタバレを含みます▼ いろんな人が出てきていろんなこと起きたんだけど、カメレオン桐山の印象が強すぎる。煉条も印象深かったけど、断然桐山。桐山強烈に気持ち悪いのに、なんかもっとやれーとか思ってしまった。桐山のナメナメとゼロのなめなめが、セットで楽しい。
ゼロと鹿倉に関しては、ホールケーキとしっぽり温泉旅行で甘さが増してきた分余計に桐山の存在感が際立つ。上越新幹線でのエピソードも、乙女入りすぎててこそばゆかった。そもそも他人のふりするなら、ちゃんと別の車両に乗ろうよ。繁忙期以外の上越新幹線なんて、偶然隣り合わせたことを装えるほど混み合うのか?元上越新幹線ユーザーとしてはいろいろ気になってしまった。とはいえ別の車両にのっちゃったら握りこぶしこっつんエピソードが成り立たないから仕方ないんだろう。笹団子のストラップもこそばゆかった。そしてそれを合鍵に使い続けてるのもこそばゆい。これぐらいのこそばゆさがないとひたすら殺伐とした物語になっちゃうからこそばゆいぐいらいでいいのかな。こそばゆさはあったものの、鹿倉もゼロも甘々とまではいかないし、一定の緊張感は保たれているし、鹿倉は相変わらず過剰に喘がないし、煉条にみとれたり桐山のナメナメに火花がちって惑乱したり、本作でもいいキャラだった。
今回超重要人物であるはずの遠野もちゃんと出てきたんだけど、超重要人物であることをうっかり忘れそうになるくらい存在感が軽い。こうなったら東界連合の壊滅とかさっさと終わらせて、桐山、ゼロ、鹿倉のナメナメ攻防戦でも見せてもらいたい。私としては、もはや東界連合がどうなるのかとか、ゼロと鹿倉がどうなるのかより、桐山が、どのようにゼロと鹿倉をかき回して振り回してくれるのかばかり気になってしまっている。いずれにせよまだ続くようなので、続編での桐山の暗躍が楽しみ。(物語に欠かせない、スパイス的変態桐山)

作者様があとがきで、小山田先生の絵が魅力的で遠野にまでぐらっときたと書いてらしたがめちゃめちゃ同感。ほんとクズも変態もどのキャラもみんなかっこよくて、遠野なんてかっこいいなんて思いたくないのにかっこよくて小山田先生の画力は罪深い。(惑乱、胡乱、眇める)
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