全ての恋は病から
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全ての恋は病から

凪良ゆう/車折まゆ

病も相手しだいではただの病じゃなくなる

ネタバレ
2023年6月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ 四六時中人肌が恋しい夏市(攻め)と、まったく片付けができなくて、片付けようとすると気分が悪くなる椎名(受け)。
作品紹介を読んで、どんだけ病的な人たちが出てくるのかとちょっと心配していたのだが、たしかに椎名はほんと病的といえばそうなんだけれど、想定の範囲内の病だったというか、心配しなくてもよかったなという感じ。夏市にいたっては、ぬいぐるみでどうにか欲望をごまかせるなら、むしろ全然大丈夫じゃないかと思ってしまった。
一応心に変態的病を抱えたという設定になっている二人だけれど、お互いがお互いを必要としあい、結局は幸せな二人。薬物は乱用しないし、家族との間に確執はないし、記憶喪失になったりもしない、道端で男をひろうこともなく、長年の片思いをこじらせることもなく、警察ややくざが出てくることもなく、いたって平和に楽しくテンポのよいお話が最初から最後まで展開される。偶然椎名が夏市のとなりに引っ越してきたことぐらいが最大のハプニングか?大学生のくせに1DK住まいとはぜいたくだ!とはいえ夏市の心の声とか、夏市と椎名の掛け合いがおもしろかった。
飯島が椎名を好きだと誤解し、間違って付き合い初めてしまうくだりはちょっと無理があったような。誤解だと気づいたのになんとなく飯島にキスしてしまった夏市、こういうやつだめだなーと思うけど仕方ないよなとも思う。まだ若いし。
あと、受けが性的なことに超うぶで、それをうまいこと利用して攻めがあれこれやってしまう展開はあまり好みではないのだが、この作品ではけっこうエロく感じて楽しめた。普段夏市があれこれ椎名に尽くしているような感じになっているから、エロのときぐらい夏市のいいようにされている椎名が見られてよかったからかもしれない。椎名もなんだかんだすごく気持ちよさそうにしてたのでよかった。(ラブラブ、2010年)
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