賢者の石(6)楽園の疵
」のレビュー

賢者の石(6)楽園の疵

秋乃茉莉

ついに過去が明かされます。

ネタバレ
2013年7月22日
このレビューはネタバレを含みます▼ ロレンッオの過去がついに明らかになります。
ベネチアの賓客、キプロス王家の末裔という設定のいきさつが明かされます。
過去が明かされている為か、趣が5巻までとは違います。
キプロスの先王はロレンッオの未だ会えぬ弟。
その弟王が何者かに暗殺され、次の王位はロレンッオが着くことに……
キプロスに帰還したロレンッオは古代の神々や、暗殺された弟王と出逢い、亡くなっている幼い弟王に王位に着くことの意味を教えられます。
暗殺者がロレンッオにも迫り、また近隣の大国がキプロスを攻めて来る事を弟王に知らされ、戦争を避けキプロスの民を守ること、そして母を守ること、その為にベネチアの庇護を受ける代わりにキプロス王家最後の王となることを決意する。
そしてキプロス王家に伝わる賢者の石らしき紅玉の真の力もその言い伝え通り、真の王でなくなった途端に失われてしまう。
結果、キプロスは開戦を回避でき、楽園の島の生活が守られる。
古来、日本史上でも、戦で華々しく散るか、恥を承知で領土、民、一族の命を守るかの選択でそれぞれの主君が選択を迫られた。
今の日本では想像もつかないことだけれど、事実上そういう事はあったのです。
現実に、現在戦争中の国々もあるのです。
私のような一般人にはきっとわかり得ないであろう、国の主たるものの苦悩が忍びない、そんな事も考えさせられた作品でした。
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