このレビューはネタバレを含みます▼
本編4作+still recallまで読了。理解し難い暴力、展開や結末に突っ込みどころ満載ではあるが妙に好き。宗近(攻め)のマグナムやメインディッシュといった寒々しいセリフと、強いんだか弱いんだか、頭いいんだか悪いんだかわからない椎葉(受け)のキャラを笑って受け流せる人におすすめしたい作品。
暗い雰囲気の中に、どこか滑稽さがあり、宗近と椎葉の関係は、やくざと刑事という許されない関係でありながら私はあまり切なさを感じなかった。この作品で一番切なかったのは安東。
【1作目】よくあるやくざと刑事の設定、これといって目新しい展開はないものの、安東がいい感じに切なく、私の心には常に安東がいた。余裕な宗近に助けられるうかつな椎葉の構図は楽しい。暴力や殺人はあるが、合間に宗近と椎葉の軽妙なやり取りがあったおかげで私はあまり暗くならずに読めた。膝に乗るシーンもよい。義兄篠塚と椎葉の微妙な関係性もよかった。椎葉は刑事のくせに危機感なさすぎ。
【2作目】永倉と小鳥遊の登場に気を取られ、油断していたところに明かされる店名の秘密。安東の恋心が切ない。椎葉は相変わらずうかつだし宗近にひかれつつもそれに浸りきれない、まさに臆病な猫。宗近を膝枕するシーンはすごく好き。椎葉は永倉とキスなんかしちゃって、ふらふらな受けは好きだが今までの言動を考えるとここでキスして流されそうになるって、どうなんだ?しかも宗近の前で泣くなよ椎葉!とか椎葉の行動につっこみを入れつつけっこうはまった。
【3作目】乳首が痛い!な3作目。悪趣味五堂、いくら相手のプライドずたずたにするためとはいえ、そんなやり方を選ぶとはけっこう暇なのか?椎葉はどんどん恋する乙女と化し、宗近はどんな時でも余裕あり。過去の女は全部遊びだとか言う攻めが好きじゃないので過去に必死で愛した人がいたという設定は好感がもてた。続きが非常に気になる終わり方。
【4作目】閉じ込められた椎葉、五堂の暗すぎる過去とか、いろいろあったけど何事もなかったかのようにすべて丸くおさまりすぎなハッピーエンド。某マフィア映画のような破滅を予感させるラストもいいが、こんな甘ったれな結末も私は嫌いではない。新しい命=生きる希望とする安易な構図はあまり好きではないかな。
【still recall】宗近と椎葉の幸せなその後や、お兄ちゃん篠塚とのメールのやり取りににやけた。お兄ちゃん最後までいい仕事してくれる。