このレビューはネタバレを含みます▼
タイトルと作品内容からどんなシリアスなお話なのかと思ったら笑えて楽しいラブコメだった。人を好きになるということがわからない横暴男前な西条(攻め)が、霊能力を持つポジティブ思考で料理のうまい歩(受け)に胃袋つかまれほだされるというお話。受けに対して辛辣で乱暴な攻めはあまり萌えないんだけれど、この作品は歩がとにかく西条を大好きで何を言われてもへこたれないので、西条と歩のやり取りを笑って楽しめた。西条ほんと最低で、その最低な部分はずっとなくならないのに、そこに愛情みたいなものも見え始めるからなんかかわいくなってくるんだよ、でもやっぱり最低だよ彼は、人の頭とか叩かないでほしいとは読みながら常に思った。そして西条は好きって何かわからないとか言いつつやることはやりまくるので、エロも1巻から満喫できる。かわいい受けってそんな好きではないんだけどな、この作品の西条と歩のエロはなんか萌えた。
生霊も死霊も出てくるけど、1,2巻の段階では歩がまだ霊能力をコントロールできないような状態で、あまり霊能力とか、幽霊とかの雰囲気というか醍醐味?のようなものを感じることがなかった。西条と歩の恋愛関係がだんだん育っていく過程の、その合間に霊の話がちょこちょこふりかけられているような感じで、おどろおどろしさも恐怖もなく、霊的な部分の話については特に盛り上がりがなかったように思う。1,2巻はひたすら西条と歩のやり取りを楽しんでるうちに読み終わった。その後番外編をはさみ、このあとどうなるんじゃと思って3巻を読むと歩が修行から帰ってきて1,2巻よりも霊能力者としてパワーアップしており、3巻でやっと歩の霊能力のすごさが見られるのだけれど、その描写がちょっと説明っぽいというか、臨場感は足りなかったかな。3巻での西条の記憶喪失は、またよくある記憶喪失かと読む前はちょっと不安だったのだが、記憶を失った西条が相変わらず横暴で、酔っ払ってキスしてきたり、「らぶほ行っていいか」のセリフとかは西条らしすぎて、記憶喪失なんて歩にとっては悲しすぎる展開であるはずなのに、切なさよりおもしろさが上回る記憶喪失設定になっていて楽しかった。こんなに楽しい話なんだから、もっと楽しい話だってことがわかるような作品紹介文とか、タイトルとかにしたほうがいいんじゃないかとか大きなお世話なことを思った。(すがめる、眇める)