青年たちの後ろ暗さ





2023年7月13日
過ぎた思春期が少し後を引く青年たちが抱える、どこか後ろめたい劣情や願望、そして非日常への夢想が、現代社会における若者の他者とどこかで一線を引く関わり方の中で絶妙に薄暗く描かれていて、タイトルまで含めて雰囲気の統一された文学作品のようなBLでした。とても素敵です。晶の視点で進む物語なのに晶の感情の方が読みにくかったり、考え方が理解しにくかったりしますが、それこそがその年頃の青年の鬱屈を感じさせて好きでした。「この人と一緒にいたら非日常を感じられるかも」「この人に今の自分を変えられたい」と思うのは、ごくごく普通のありふれた「恋」なのでは?とも思いますが、その「普通の恋」がミステリアスな物語として、引き込まれる作品として成立している、作者さんのお力を感じさせる良作です。

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