noicomi鬼の花嫁
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noicomi鬼の花嫁

富樫じゅん/クレハ

撫子さんの事

ネタバレ
2023年7月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ 聆夜と柚子をはじめとするメインキャラクターの事は他のレビュアーさん達が言い尽くしてくれているので、妖狐一族の長である撫子さんについて。
恐らくは元来花梨の事をよく思ってなかったであろう撫子さん、花梨を瑶太から引き離す機会を狙っていたのでしょうね…。
こう書くと撫子さんが根性の悪い小姑みたいに思えますが、むしろ真相は真逆で某王様戦隊の黒い人と同様に自ら必要悪としての振る舞いが出来る大人の女性だと言う事が判るでしょう…。
「花嫁に危害を加える事はその家系への宣戦布告」と言う劇中のルールが明言されている以上、撫子さんの立場からすれば4〜5巻で瑤太がガチギレ聆夜の怒りの炎で燃やされた時点で花梨を追放しても(鬼と妖狐の勢力の差からすれば)決して理不尽とは言えないわけで、それにも関わらず瑤太と花梨に二度も猶予を与え、その為に聆夜と柚子に自ら謝罪に赴くなど、面倒見の良さも伺えます。
結局、花梨は自身の逆恨みを自覚もせず、瑤太も「男としての貫目の不足」故に花梨を御する事が出来ず自滅に至り、撫子さんの配慮も無駄に終わったわけですが。
花梨の一連の振る舞いはさながら撫子さんの称号である「九尾の狐」の伝承にてその化身の一人として語られる「妲己」の如き毒婦としてのものであり、被害が拡大する前に「妲己」の役割を果たしかねない花梨を排除する役割を撫子さんが担う羽目になったのはこれ以上ない皮肉と言えるでしょう。
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