A・K日記
」のレビュー

A・K日記

辻村弘子

若者はまた歩き続ける

2023年7月24日
途中であって、この先もまたわからない、という描きかたは良かった。また、時代的に、女の幸せはイコール結婚、といったような固定観念が今よりも強大だったが、そこに縛られた感じがなく、この作品の女の子達は主体的に生きようとしているところが、バイタリティーを感じさせ、一方で周囲の価値観との融和を見せてしなやかな展開。
辻村先生の描かれたこのお二人は確かとても人気だったようで、シリーズ化もされていたような。書店には常に作品が数冊並んでいた記憶があるが、通しで読む機会に遂に恵まれなかった。毎日無料連載に入っていると知ってそちらで読み進めて、改めて15歳から16歳の年齢設定での当時の男女交際観を思い返した。そういえば自分にも交際を申し込んでくれた人が中1のとき初めて現れたのに、祖母と母に反対されてお断りしたっけな、と。(後年その人に憧れてバスケ始めたという男の子から、そんなことするやつが世の中に居るのが信じられないって呆れられた。でも、そういう時代感覚、ほんと、肌で解る。。)

さて今日までに4人のレビューアーさんが書かれていて、「オトナ作品」??の年齢確認が作品を買う際か読む際にあったような記述がある。私は毎日無料連載のほうから入って読んでそこをくぐり抜けておらず不明だが、それはよくある提供時の登録分類ミスであって、作品は上述のように交際の可否すら俎上に乗るレベル、キスに至るまでも時間がかかるストーリー。ましてや、そのさきなど出てくるはずのない清らかさ、誤解なきよう、検討されているかたはその辺宜しくお願いします。

絵柄は辻村先生はこういう作風、というのを読み始めて直ぐ脳裏鮮やかに思い出した。華奢だけど意地があって、美化されたイメージの節度ある若者、っていうーー。
「若者たち」という曲そういえばありました。流行った相当後の時期になって気づきましたが、その頃歌ったのは坂本九さん?それともカバーだった?。詞の「希望へと」「続く」など、込められたものがこの作品と調和してる。森山直太朗さんもカバー。キャンプファイヤーというシチュエーションがまた時代感くっきりで、ノスタルジック。1977年単行本化。別フレ1976/3-5,7-9月号
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