溺愛αと野良Ωの結婚【単行本版】
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溺愛αと野良Ωの結婚【単行本版】

銀川ケイ

良かった✨✨

ネタバレ
2023年7月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ 銀川先生の作品は何気ないコマにハッとしてしまう描写があったりで、あっさりしている様で考えてしまう所があるんですね。今作もどんなに嫌悪しても社会的有利な層が生み出す社会構造は変わらないんだなと、そんな残酷さがありました。

そんな中で1番弱者で社会的保護の無いΩはどう生きているのか…という作中の主人公と友人の対比は良かったです。市高と彼のΩ仲間 星那。彼と市高の人生は同じ環境だったけど、途中から市高は変わり星那は変わらない。そんな星那の最後のコマは、裏通りで求人募集の張り紙を見ている所。住居付きの募集はもしかしたらそれまでの彼の生活を変えるきっかけになるかもしれないなと、希望を感じたんですが、求人募集には、Ω可、とは書いてなくて😌

星那の様な生活だった時の市高はそんな環境でも自分を大事にしていて、ぎりぎりの所で強さがあって良かった。発情期、捨てていく男性に市高は、自分はどうなるの?とちゃんと気持ちを伝えたり、どんなにひどい事があっても、避妊薬をNPOから貰って自己防衛をしていたり、妊娠しても自暴自棄にならず自分と子どもを守る為に動いた。そんな彼の芯の強さを感じたシーンは良かったです。

星那は、市高と吾郎に連絡を取るのかな?と想像しましたが。彼に渡した吾郎の名刺のコマ。そこに作者は彼にも幸運を渡した様な感じがして良かったです。ハピエンでも残る仄暗さというか(この作品だと吾郎の両親は最後まで出てこない所とか…)はぁ、作者の作品はどこか全て丸く収まるものでも無い…みたいなものを感じるところにリアルさがあって、ふむふむと読んでしまいます。

追。祝、星那編✨ 良かった。凄く気になっていたので彼のその後を知れて良かったです。先生の社会でのΩの扱われ方が変わらず酷いのですが、それが社会なのだと思いながら今回もふむふむと読みました。もし星那が、ホームレスの様な格好ではなく質の良いシャツとパンツ姿だったら、警察官の裏の顔を見る事はなかったのかなと思ったりしながら…。番う所も見たいですね。
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