このレビューはネタバレを含みます▼
トコトンお人好しで穏やかな麒麟の瑞獣の坊ちゃんとそんな坊ちゃんの小さい時にお世話係をしていたつばめの乙倉のお話。時代は大正〜昭和初期の雰囲気で童話の幸福な王子が話のベースとなっているので、まぁまぁ残酷というか切ないお話でした。乙倉は童話とは違い必死に坊ちゃんの鱗を取り返そうと奮闘するも、状況が悪化する一方なのがなんとも苦しくて…。最後の方にその真意が明らかになるのですが、わかったところで残酷な状況なのは変わらないのがまた切ない。つばめ=渡り鳥というエッセンスもしっかり効いていて、読み進めていくほどに世界観が明らかになってより互いへの思いの深さか感じられギュッとなる気持ちでした。最後は元の童話と違って完全には戻らないですが、ハッピーエンドです。絵も世界観にあっていてこれ自体が童話のような感覚でした