殿とつばめ
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殿とつばめ

小石川あお

目に見えなくても必要なものがあるってこと

ネタバレ
2023年8月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ 麒麟の坊ちゃん、揶揄うように世間には殿と呼ばれていました。乙鳥は久方ぶりに坊ちゃんのところへやってきた。幸福の王子のように、人のために身を削っていく坊ちゃん。なんとかしたくて乙鳥は最後には自分の命すら差し出すような真似をします。戦地に送られた坊ちゃんが意を決して行動し出した時のメガ凄く良かった。互いを大切に思っているのに、肝心な事を言葉にしないものだから、すれ違い勘違いで上手く行くものも行かなくなっていったのです。言葉にした事で、坊ちゃんと乙鳥は互いを支え合うように寄り添っていきます。坊ちゃんが牢の中で乙鳥の想いの形を認識した瞬間がとても良かったです。2人はずっと一緒に旅してるんでふね。巡る季節とともに。小石川先生の作品はいつもどこか詩や御伽噺のような美しさがあって、何度も読み返してます。
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